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渋谷で学び巣立った             レッグウェアブランド

Vol.23 田中 史織(靴下デザイナー)

2026.05.15

 街を歩いているうち、彼女の足元に目が留まりました。靴下に縫い付けられた、小さな花の刺繍。それはさりげなく、しかし凛としたたたずまいで、作り手の意思そのままに花開いているかのようでした。  今回のゲストである田中史織さんは、「laceflowersocks」や「高山植物図鑑」な どのレッグウェアブランドを主宰する靴下デザイナーです。渋谷区内の専門学校でファッションを学び、ショップスタッフや企業デザイナーとして経験を積んだ後、独立しました。  彼女のお気に入りスポットをめぐりながら、ブランドづくりの源泉について、話を聞かせてもらいましょう。

手作りの服から                                     ファッションの世界へ

 「いまは群馬に住んでいるから、最近の渋谷に詳しくなくて……専門学校のころも、遊ぶのはもっぱら新宿方面でしたし。懐かしいです、新宿御苑で花見をしていたころが」  靴下デザイナーの田中史織さんが、歩き出すとともにつぶやきました。専門学校とは文化服装学院のこと。数多の著名デザイナーを輩出してきた服飾専門学校です。  「デザイナーというより、単に服を作れるようになりたかったんです。母が子供服を手作りしてくれる人だったので、自然と自分もそうなりたいなと。家庭科はすごく苦手でしたが(笑)。課題が多く、徹夜は当たり前だったものの、ファッションを勉強できる楽しさのほうが記憶に残っています」

花束に添えられる                         レースフラワーのように

 「専門学校を出た後、最初の職場も渋谷でした。渋谷PARCOにあったインポートブランドのセレクトショップ。そこで販売の仕事をしていました。ファッション小物が中心で、靴下もたくさん取り扱っていたんです」  販売を通して、企画やデザインなど、ものづくりと直接的に関わりたいと考えるようになった田中さんは、恵比寿の靴下メーカーに転職します。そこで企業デザイナーとして経験を積んだ後、独立して本格的にスタートさせたのが自らのレッグウェアブランド「laceflowersocks」です。  「花束に添えられる名脇役のような存在のレースフワラーを名前にしました。お花の色彩をインスピレーションにし、繊細な雰囲気を大切にしています。だから、代々木八幡のwholeというフラワーショップを訪れたときには、ひと目で世界観もセレクトも大好きになりました。オーナーのつなさんは友人で、撮影のフラワースタイリングをお願いすることもあるほどです」

ファッションを導く                         ヴィンテージショップ

 新宿御苑から歩き出し、いつの間にか東北沢方面へ。渋谷区を横断するように歩いた先にあるヴィンテージショップのAngie La Laもまた、ブランドとの関わり合いのあるショップだと教えてくれました。  「1月にも『laceflowersocks』のポップアップをやらせてもらいました。オーナーの佐久間さんがイギリスで買い付けてくるヴィンテージアイテムは、私が靴下で表現したい世界観にぴったり。イギリスのヴィンテージにとても詳しいので、来るたびにファッションの勉強をさせてもらっています。靴下を作るうえでのインスピレーションにもなっていますね。そうだ、今日着ている白いシャツも、前にここで見つけて買わせてもらった、大切な服なんですよ」

高山植物に見た                         生き抜く力

 「wholeやAngie La Laを別にしたら、渋谷も知らない場所ばかりですね。群馬に引っ越したのは、山の近くに住みたかったから。登山へ熱心になるうち、辛い道のりから私を救ってくれるようになったのが、足元にかわいらしく咲く高山 植物でした。お店に並ぶ、ちゃんと手入れがされたお花とはまた違う、はかなさやたくましさがありますよね。あの生き抜く力のようなものをデザインに落とし込み、セカンドラインとして立ち上げたのが『高山植物図鑑』です」  都会で揉まれたものづくりは、いつしか高山に延びる縦走路へと続いていたのです。思い出の場所を巡ったら、お土産を探して、お腹を満たすとしましょう。  「シェ・リュイ 代官山店のクッキー詰め合わせやスイートポテトは、出張時の手土産によく買っていきます。恵比寿で働いていたころから重宝していたお店。同時期、同じくランチタイムによく利用していたのが、うどん山長 恵比寿店 です。もう何年も経っているからメニューも変わっていますが……うん、いまもすっごくおいしい。靴下のデザインをはじめたころの日々を思い出しました」

田中さんは靴下を日常生活の名脇役に例えます。

List

1
新宿御苑
新宿区内藤町11

新宿区のイメージが根強いが、南側は渋谷区にまたがる。桜をはじめ四季折々の草花や、野鳥などを鑑賞できる、都心のオアシス。

2
文化服装学院
渋谷区代々木3-22-1

服飾・ファッションの専門学校。図書館が田中さんのお気に入り。文化祭などを除き、在校生や関係者以外の入構は禁止。

3
whole
渋谷区元代々木町25-8 L' Espoir Yoyogipark 103

ヘアサロンのAWRY BY THE MANNERに併設されたフラワーショップ。田中さんとともにイベント出店も。

4
Angie La La
渋谷区上原3-26-7

世田谷区との境界に位置するヴィンテージショップ。イギリスなどで直接買い付けた目利きのアイテムが並ぶ。

5
シェ・リュイ 代官山店
渋谷区猿楽町23-2

代官山で創業50年を数える老舗パティスリー。自分へのちょっとしたご褒美や、手土産にぴったり。

6
うどん山長 恵比寿店
渋谷区恵比寿1-1-5

路地裏にたたずむ人気店。ランチのセットには、豪快な小鉢や天ぷらの盛り合わせがついてくる。

Profile

田中 史織 Shiori Tanaka

埼玉県生まれ、群馬県在住。靴下デザイナー。幼少期は花店を夢にもち、文か服装学院へ進学後に靴下への関心を深める。卒業後、セレクトショップや靴下メーカーの勤務を経て、2019年に独立。「laceflowersocks」をリスタートさせ, 履くだけで贅沢な気持ちにさせる、レースのごとく繊細に編まれた靴下を展開。趣味の登山が高じて、2021年にはセカンドラインの「高山植物図鑑」を立ち上げる。アイテムは各地の取り扱い店舗のほか、オンラインでも購入できる。 @laceflowersocks

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